生きる、幸子 (1) · 11月 01日, 2018年
 「キャンドル」はそれなりに繁盛した。が、東京に出て行った息子は戻って来なかった。仕送りを続けた幸子はやがて、息子が結婚したことを知らされた。ほそぼそと続けたキャンドルの灯が、まもなく消えようとしている、と彼女は思った。根無し草のように、ただ水中を漂っているだけだった。彼女には何も残らなかった。...
10月 07日, 2018年
 3ヶ月が過ぎ、郊外ではコスモスが揺れる季節になっていた。幸子の生活は相変わらずだった。昼夜が逆転した生活、借金に追われ、酒に溺れ、男を騙す生活が続いていた。ある夜、大野孝之が突然目の前に現れた。連絡の来ない幸子にどうしてももう一度会っておきたかったのだと言う。「今日、会えなかったら諦めるつもりだった。今の生活を変える気はないか、できれば自分と一緒に来てほしい。けして不幸にはしないつもりだ」と。彼は自分との甘い生活について語った。およそ300年も続く老舗の呉服屋の一人息子であり、いずれは家業を継ぐが今は公務員であること、両親は健在で、結婚すれば別に新居を構えて、二人で暮らしたい。自分は32才で年齢は15才も違っているが、歳の差は問題ないこと。福岡に比べれば多少は田舎であるが、一応県庁所在地であり、繁華街であるなど。  幸子にとっては夢のような話である。だが、「少し考えさせてほしい」と彼女は言った。彼をとりまく環境はなんとなく把握できた。。けれども、毎晩遊びにやってくる店の男たちとどう違うのだろう。何人もの男たちが、幸子を見受けしたいと言っている。独身もいれば、れっきとした妻帯者もいる。恋愛に発展しそうな男もいるが、本当に遊びが目的の男もいる。大野孝之はそのどれに当てはまるのかもわからない。好きか嫌いかでいえば、たしかに自分の好みには違いない。店の女たちの中には騙されたものもいる。すっからかんになって、捨てられて、舞い戻ってきた先輩もいる。「本気で恋愛なんかしちゃだめよ」と諭されてもいた。「夜の女で成功するには、誰からもみくびられないことね。つまり、自分をけして安売りしないことよ。」  城下町の老舗の女将、しかも生涯身に付けることもないであろう超高級な呉服を纏った幸子を想像してみた。美貌の自分にはきっと似合うに違いない。優雅な暮らし。食べたこともないようなご馳走。乗ったこともないような高級車。海外旅行、チャペルでの真っ白なウェディングドレス、いや、呉服屋なので、金襴緞子の花嫁衣裳を纏うのかもしれない。17歳の幸子の想像は限りなく膨らんでいった。  その日以来、幸子は孝之の来店を心待ちにするようになった。ドライブにも出かけた。久住高原や阿蘇外輪山、見たこともないような景色や行ったこともない観光地に有頂天になったのは想像に難くない。  来春、18歳になったら、幸子は白馬の王子さまと共に宮崎へ行くことにした。兄も妹も反対した。それは幸子という金づるが居なくなるからという理由だけではなかった。まだ未成年の幸子がとうてい老舗の呉服屋の女将が務まるとは思えなかったからである。  そして、案の定、幸子にとっての白馬の王子さまは、とんでもない御曹司だったのである。彼は勘当同然の遊び人だった。どこの馬の骨かわからない女を連れ帰った孝之は実家でも猛反対を受けて、幸子は金襴緞子の花嫁衣裳どころか、まともな結婚式すら挙げてもらえなかった。  二人は逃げるようにして、その街の片隅の6畳一間の安アパートに落ち着いた。入籍はしたもののすぐにそれが失敗だと気が付いた。夫は幸子の幾ばくかの貯金が底をつくと、彼女の許へは戻らなくなった。 すぐに、女ができたのだと分かった。噂ではある料亭の一人娘と夜な夜な遊び呆けているというのだが、幸子には抗議する処も訴える場所もなかった。  幸子は妊娠していた。夫は家に寄りつかなかったので、働き口を探した。この街では夫の手前、夜の商売はできなかったので、スーパーのレジ係に応募したが、断られた。身重の彼女には無理だったのだ。  なけなしのお金で、幸子は路地裏の小さな店を借りて、焼き鳥屋を始めた。とにかく日銭を稼ぐしかなかった。スーパーの入り口で店頭販売をしている焼き鳥屋の兄さんにそのノウハウをタダで教えてもらった。初めは売れた分だけ仕入れをする。仕込みは昼間に準備し、夕方から夜中の2時過ぎまで、酔っ払いや飲み屋の姐さんたちを相手に、めいっぱい働きづめた。やがて美人の焼き鳥屋の評判はすぐに広まって、常連客がつくようになった。  子供が生まれても、彼女は背中に息子を背負って、汗まみれで働いた。夫はもちろん子供の面倒はみないばかりか、むしろ評判を聞いてか、金の無心にやってきた。相変わらず遊び呆けていたが、幸子は子供のために別れなかった。それに、愛情も確かに残っていたのだ。不思議なことだが、夫が心底から他の女を愛するとは思えなかったのだ。それは、根拠のない自信だったが、自分は夫から十分に愛される資格があると思えたのだ。  焼き鳥屋は繁盛した。子供が小学生になった時、幸子は、将来のためにもっと稼ぎのよい仕事を選んだ。 自分は中卒だったが、せめて一人息子の陽介には人並みに高等教育を受けさせたかった。そして、僅かな元手で再び彼女は水商売を始めた。今度はもっと町の中心地に近いビルの奥に、かすかな希望を抱いて、「キャンドル」を開店した。焼き鳥屋からの転職は成功だった。博多で腕を磨いた幸子はどこかあか抜けていて、会話も、客あしらいも上手かったのである。25歳の春だった。  そうして、孝之とは別れた。ある日子供のための教育費に手をつけたためでる。子供サッカークラブに所属していた陽介が夏のキャンプに行くためのお金だった。もう、なにもかもこれで終わりだと、幸子は思った。そして父親についていくかどうか、子供にたずねた。彼は首を横に振った。ひとりぼっちの夜を過ごすことが多かった陽介だったが、母親の懸命に働く姿を見ていたのだ。「僕はかあさんといる。」これ以上の幸せがどこにあるだろうか。幸子は陽介をつれて、安アパートを出た。  小さな町だったが、それ以来何年も夫とは会っていない。女と別れて、勘当を解かれた彼は、実家に戻り、呉服屋の後を継いだらしかった。  陽介は高校を卒業すると、東京へ行くといった。 つづく    
9月 29日, 2018年
 その街の界隈で働けなくなった幸子は、博多へと住所を移した。天神の繁華街から中洲の歓楽街へ、より深みへと彼女は落ちて行った。しかし、彼女自身はけして転落とは思わなかった。17歳の年齢に不釣り合いなきらびやかな服装、厚化粧が似合う女へと変身を遂げた。その店は、黒アゲハとは比べ物にならないほどだった。ネオン街に吸い寄せられるように、夜の女たちはそれぞれの美を競い集まった。  幸子もご多聞に漏れず、美貌と若さで勝負したので客はすぐについた。だが、心はいつも晴れなかった。  捨てて出た故郷ともいえる炭鉱の古びた町、やせ細った祖母、泥まみれで働き詰めで死んでいった両親のことを思うと、やるせない気持ちになった。自分が我儘だと彼女はわかっていた。なのに、素直になれなかった。ごめんね、の一言が言えなかった。何のために働いているのか、この人生は本当に自分の選んだ道だったのか。だが、若干17歳の幸子には答えなど分かるはずもなかった。  憂鬱な日々が続いた。稼ぐための営業用笑顔、言いたくもないおべんちゃら、男たちの卑猥な言葉やセクハラ、どれもが彼女にとって苦痛だった。    「君、なんという名前?」と彼は聞いた。「えっ、源氏名が幸子?幸せな子って書くの」彼は重ねてたずねた。 「そう、幸せな子なの」、と彼女は微笑んだ。なんだかとても新鮮な気がした。宮崎県から消防団の仲間と共に福岡に研修に来たというその男性は、先輩に連れられて初めて中洲に来たといった。さわやかなブルーのシャツ、白のズボン、日に焼けてはいたが、笑ったときの白い歯が印象的で、まるで、白馬の王子様だと幸子は思った。  半年が過ぎたころ、その店に白馬の王子さまは再びやってきた。今度はたった一人で。しかし彼は、幸子に会えなかった。理由は知らない。幸子が故意に拒んだのか、本当にその日店に居なかったのか。  連絡先を告げて、彼は帰っていった。一枚の名刺には大野孝之とあった。老舗の呉服屋の若主人なのか、専務という肩書が記されてあった。幸子はそれを大事に名刺入れに収めた。遠すぎる人、だと思った。場所も、境遇も、自分には縁がない男性なのだ。
生きる、幸子 (1) · 9月 28日, 2018年
幸子は北九州の片田舎で生まれ育った。無学な両親は炭鉱で働き、7人家族を養っていた。祖母と兄2人と、幸子、その下に妹が1人。6畳一間、便所も風呂も共同だった。幸子はこの汚い環境からいつかは逃げ出して、蝶のようにはばたきたいと、もの心がつくようになってからずっと考えていた。中学を卒業すると、進学はせずにすぐに家をでた。北九州の町の中は、炭鉱で働く鉱夫が多く、飲食街は驚くほど賑わっていた。中卒の幸子が働く場所と言ったらそこ以外はなかった。18歳だと偽って、「黒アゲハ」という店に住み込んだ。蝶の名がついた店が気に入っていた。 若くて美人の幸子はすぐに評判を呼んで、その店の看板の売れっ子ホステスになった。黒ダイヤで荒稼ぎした男どもが毎晩湯水のように金を使い、幸子の指名はひっきりなしだった。。来る日も来る日も男たちに囲まれて、いつしか彼女はまるで、働き蜂に守られた女王バチのようになっていった。肌もあらわに、ミニスカートに10センチもあるピンヒールを履き、店内の煌めくシャンデリアの下をかいがいしく行き来して愛想をふりまくと、ストッキングのガータ留めにも、胸元にも、万札が押し込まれた。日中は毎日誰かれとなく連れ出され、競艇やダンスや高級レストランで食事をし、そのまま同伴出勤をすると、まるで華麗な蝶のように栄華を極めるようになった。  一方で、彼女の行く末を心配した兄が、なんども自宅へ連れ戻そうとしたが、炭鉱町の貧乏な暮らしには辟易していた幸子は、兄の説得にも鼻でせせらわらって、応じなかった。やがて、祖母が逝き、両親は病み次々と他界していった。そして、失意のどん底を味わうことになるとは、その時は思いもよらなかった。  炭鉱はやがて閉山し、兄弟たちはばらばらになった。ある日、彼女のもとに1通の速達が届いた。獄中の長兄からだった。あるとき、幼い妹が身売りされるのを拒んだ彼は、大げんかの末、相手を半殺しの目に合わせたのだ。  障害者となってしまった相手への生涯の保障として賠償金と慰謝料は驚くほど高く、次兄や幼い妹の面倒まで、17歳の幸子の肩に重くのしかかった。  今まで以上に、男たちを手玉に取り彼女は働いた。「黒アゲハ」は繁盛していたが、業界の妬みを買っていた。 売春や買春が横行し、真っ先にやり玉に挙げられたオーナーはついに捕まってしまった。当然ながら、年齢を偽って働いていた幸子も捕まり、店を辞めざるを得なくなった。
生きる、幸子 (1) · 9月 26日, 2018年
幸せな女だと、幸子は言った。白馬の王子さまが現れて、いつか蝶のように華麗に飛びたつのが夢だったけれど。
時子の場合 · 9月 21日, 2018年
 1週間もして、時子から電話が来た。夫は居直って相変わらずだが、自分は食事の支度もしないし、寝間も別々にしている、という。2メートル以内に夫が近づかないよう、避けているといった。そして、実は弁護士事務所に相談に行ったという。曰く、時子が相手の女を訴えて、慰謝料を請求することはできる。しかし、同様に女の夫からも時子の夫を訴えて慰謝料を請求することができる。そして、相手の女は無職で、しかも生活保護者で金銭は取れないが、こちらは商売をしており、財産もあるだろうから、相手から慰謝料を300万要求されれば、支払わなければならないだろう。彼女はがっかりした。これまで夫とともに築きあげた財産を、その女にごっそり持っていかれると言われたのだ。全てを捨てて、家を出ていく勇気はなく、家の中はうち沈んだように暗く、不安と猜疑心でとうとう彼女はうつ病になってしまっていた。精神安定剤を服用しているといった。  解決策は見いだせなかった。気晴らしにと、外に連れ出そうとしたが、もちろんそんな気分にはなれずにいた。  気にはなりながらも、何度か連絡をとったが、メールも電話も繋がらず、1年が経った。その間2度ほど自宅を訪問したが、彼女は不在だと夫はそっけなく言った。まもなく、事実かどうか、彼女はついに家を出て行ったという噂を聞いた。  そうして、何ヶ月かが過ぎ、この夏、突然時子から電話があった。彼女は無事だった。携帯電話番号を変えていた。そして、次女に孫が生まれたといった。それから、今年の春に商売は辞めて、自分は近所の介護施設で働きだした、と言った。夫と顔を突き合わせて暮らすより、何かのお役に立ちたいという、彼女の希望に満ちた声は、晴れやかだった。「今度、休みがとれたら、一緒にごはん食べようね」と彼女はいった。見上げれば、台風一過の秋空にイワシ雲が楽し気に湧いていた。 おわり  
時子の場合 · 9月 14日, 2018年
正月7日、時子の娘から、携帯電話があった。一度帰って家族会議を開こうと娘は言った。母親の味方をして、もう離婚をしたら、といった。というのも、時子の夫は一度も娘のところへは様子伺いの電話もかけてこなかった。 すでに家出してから19日が経っていたが、妻の居所を探すふうでもなかった。...
時子の場合 · 9月 13日, 2018年
 時子にはすぐに分かった。夫の不倫相手は店に来る女性客のひとりだった。店に出入りするたびに、はつらつとした50代の彼女の笑い声が店内に響いた。健気にも、病弱な夫に代わり、保険のパートで生活を支えていたが、そんなことはおくびにも出さず、無邪気そうな笑顔が可愛かった。美人だがおとなしい時子と比べたら雲泥の差だ。だが、現場を押さえたわけでもなく、状況証拠だけである。うなぎのレシートの件でも、言い訳はいくらでもできる。事実、夫は、「夫婦問題の相談に乗ってあげただけだ。」と言った。 時子は夫を信じたかった、なぜなら夫はもうすぐ70歳、それに痛風持ちで、痩せて元気がなかったのだ。夫婦の関係も、ここ何年もなかった。時子は同居する義父母の介護に疲れ果てていたからである。  そうして、彼女の長年連れ添った夫への信頼は、みごとに裏切られた。  彼女の唯一の楽しみは社交ダンスであった。毎週、介護の息抜きもあって土曜の夜は仲間とダンスを楽しんでいた。腕前も大したもので、中高年とはいえ、そのしなやかな動きや軽やかなステップは美貌とあいまって、ファンも少なからずできるほどだった。  その夜は胸騒ぎがして、ダンス教室から時子は少し早く帰宅した。やはり、夫の車は駐車場になかった。とっさに彼女は引き返して、夫の不倫相手の自宅近くに行った。離れた場所で、待っていると、やがて女を乗せた車が目の前を通り過ぎた。夫である。 夫は女の家から少し離れた場所でライトを消して車を止め、女を降ろすとすばやくUターンした。 時子は夫の車が通り過ぎるとすぐに、今家に入っていったばかりの女の後を追って、玄関のベルを鳴らした。何をするつもりだったのか、何を言うつもりだったのかもわからなかった。とにかく、女と対峙したかった。  出てきたのは、女の夫らしかった。時子は一瞬たじろいだ。「こんばんわ。どちらさまでしょうか」と男はいった。「あの、、、」と言いかけたとき、奥から女が出てきて、「あ、いつもお世話になります。こちらSさんの奥様よ」と夫に伝えた。それが、今しがた時子の夫と、別れて自宅に戻ったばかりの女とは思えないほど自然体で、落ち着ていた。時子は面食らった。女からすれば、突然の訪問に逆上して時子に喰ってかかってもいい状況である。  すると、男は「いつも妻がお世話になっております。」と頭を下げた。「あの、なにか?」と男が言いかけたとき、時子は踵を翻してその場を立ち去っていた。いけしゃあしゃあとすました女の態度、何も知らないであろうその夫に自分は何を言えば良かったのか。大声を上げて、「この泥棒猫!!」とでも叫べばよかったのか。けれども時子はそんな惨めな自分をさらけ出したくなかった。  普通であれば、夜9時過ぎ、妻がいつもお世話になっているS商店の女主人がわざわざ訪ねてきたことを男が不思議に思ってもいいところである。もしかしたら、そのあと夫婦は揉めたかもしれなかった。  時子は無我夢中で車を運転した。いったい、自分はなぜこんな目にあうのだろう、私が何を悪いことしたのだろう、自分の取った馬鹿げた行動と、相手から受けた仕打ちで涙が止まらなかった。  自宅に戻ると、一足先に帰っていた夫が玄関で仁王立ちになっていた。いつものように言い訳をする夫を想像していたが、ものすごい形相をしている。そしていきなり、「俺に恥をかかすのか!」と怒鳴った。まさに逆切れである。  時子が女の家から、自宅に戻る間に、その女が時子の夫に電話をかけていたのだ。今しがた、奥さんが自宅に来た。自分の夫が対応した。二人のことをバラしたらどうしてくれる。とでも言ったのだろう。  時子は、初めて夫に抵抗した。早くから女がいることを突き止めていたこと、女にも夫がいること、なぜそんなことをして平気でいられるのか、と。夫は答えた。「お前が、してもいいと言ったじゃないか。」後の家族会議の場になっても、夫は言い張った。「時子が、浮気するなら外でしておいで」と言ったからだと。  「だからといって、お客さまと関係していいことにはならないでしょう。」 「お金はちゃんと払っている」と夫は言った。時子には小遣いも渡さない夫が、その女と月3万円で契約をしたのだという。驚いたことに契約書もあった。開いた口が塞がらない、とはこのことである。どこまで、時子を貶める気なのだろう。  しかし、自分の浮気の原因は、全く相手をしてくれない、時子のせいだと言い張る夫。そして、この期に及んで関係を迫る夫に彼女は嫌悪感をいだいた。  抵抗する彼女に、逆上した夫はついに牙をむいた。言いうことを聞かぬ時子を暴力で押し倒し、首を絞めたのだ。  このままだと、本当に殺される。もう二度とここへは戻らない、、、、、。  つづく
9月 11日, 2018年
ある日の午後だった。時子は配達から戻ったが、店は鍵が掛かっていて、留守番をしているはずの夫の姿が見えない。いったい、どこへ行ったのだろう、日中に何か出掛けなければならない特別の用事でもできたのだろうか?...

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