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隣の三毛

正月7日、時子の娘から、携帯電話があった。一度帰って家族会議を開こうと娘は言った。母親の味方をして、もう離婚をしたら、といった。というのも、時子の夫は一度も娘のところへは様子伺いの電話もかけてこなかった。

すでに家出してから19日が経っていたが、妻の居所を探すふうでもなかった。

彼女は離婚をすべきかどうか迷っていた。このまま家を出てしまえば、これまで築いてきた財産はそっくりその女が引き継ぐであろうこと、夫はすぐに女を家へいれるであろうこと、そして、自分は老後を惨めな生活を送ることになるだろうことなど。夫だけがいい目をみるのには納得がいかなかった。彼女は弁護士事務所に相談に行くと言った。

 時子は、一旦娘宅へ引き上げた。間に立ったのは、時子の兄だった。家族会議が開かれ、兄は、夫の気持ちを問い質した。もちろん、離婚なんてとんでもない、と夫は言った。どうやら丸く納めたかったのだ。

二度と暴力を振るわないから、と約束をして、彼女は1ヶ月ぶりに自宅へもどった。